国際共同製作 シリーズ「カラーズ・オブ・アジア 2015/16」
Colors of Asia とは?
“Colors of Asia”はTokyo Docsから誕生した、アジアの製作会社のプロデューサー、ディレクターが連携して製作する新しい形のシリーズ番組です。“アジアの今”を新鮮な視点で切り取っていく、というコンセプトを掲げています。
Colors of Asiaに参加する日本側製作会社は、ある一定の製作可能な額の予算と放送枠を確保しますが、パートナーとなるアジア各国の製作会社もまた、ある一定の予算確保と自国での放送実現に努め、さらなる品質の向上に寄与することが求められます。
このような製作体制をつくることにより、参加する製作会社は番組の著作権を持つことができるため、各社は自国で各回のシリーズの展開を自由に行うことが出来ます。また、海外展開に関しては配給会社に委託し、利益を参加各社で配分することが出来ます。
Colors of Asia 2016の大きな特徴としては以下の点が挙げられます。
- アジアの各社は各回の全エピソードについて、自国内でのすべての権利を持つ。
- アジアの各社は自国で集めた資金を、自ら製作するエピソードの製作に使うことができる。
- 各社は自国で放送や上映する自己の作品に関しては、自国での編集権を持つ。
- Colors of Asia 運営委員会(または委託を受けた配給会社)は、全エピソードを各社が持つテリトリー以外の国に販売することができる。
- 日本側製作会社の代表によって構成される、Colors of Asia 運営委員会(または委託を受けた配給会社)は海外販売をする際、売り上げの40%を手数料として取ることができる。アジアと日本の6社はそれぞれ10%の配分を受ける。
- 各社は自国以外には自らの番組をプリセールすることはできない。
Colors of Asia 2016
第二回目は2015年のTokyo Docsに参加したアジアの製作者に「アジアの今を生きる女性たち」をテーマに企画の提案を呼び掛け、集まった企画の中から3本を選び、それぞれパートナーとなる日本の製作会社を決めて製作がスタートしました。
因習や保守的な風土、色濃く残る男性中心社会と格闘しながら、女性ならではの視点や手法を用いて、日々小さな前進を求めて生きる女性たちを、各国独自の背景を映しながら描いています。
Colors of Asia 2016は2016年11月に、3夜連続でNHK BS1で放送されます。
番組の概要は以下の通りです。

波の向こうに~バングラデシュ・サーフガールズ~
海岸で拾った貝殻を売り生計を立てていた少女ナシマ。ある日、観光客がくれたサーフボードが彼女の人生を大きく変えることになる。抜群のバランス感覚でみるみる上達したナシマは男子と互角に戦いながらサーフィンの大会でチャンピオンとなり、一躍時の人となった。
やがて16歳になったナシマは結婚、翌年息子を出産する。夫、子供、女性としての幸せをつかんだナシマだが、再び競技に戻りたいという望みは未だ叶っていない。夫の親族がイスラム教の教えに反するとして、サーフィンに戻ることに反対しているのだ。自分自身もまた敬虔なイスラム教徒であるナシマは、サーフィンへの情熱とイスラムの教えの間で、今も揺れている。果たして、今年の大会に彼女は戻ってくるのか?バングラデシュ初の女性サーファーが抱える苦悩を追う。
製作:Goopy Bagha Productions Limited(バングラデシュ)/ テレコムスタッフ(日本)

ラグビーと女のわたし
ベトナムとの国境付近、ラオスのノンヘットで暮らしていたラオ。両親の仕事を手伝うため14歳で学校を辞めざるを得なかった。だが20歳の時に出会ったラグビーがその人生を大きく変えることになる。ラグビーに天性の才能を発揮したラオは、国内唯一のビエンチャンの女性チームにスカウトされ、さらに7人制ラグビーのラオス代表として、国際試合ヘの出場も果たした。
さらに女性ラグビーリーグを作ろうと、国内を駆け回る。しかし、ラオス山岳地帯に暮らすモン族は貧困に苦しみ、女性は10代半ばで結婚するのが伝統だ。彼女たちは家事や子育てに人生を費やす。ラオは貧困から抜け出した自分をロールモデルとし、部族の習慣を変えていきたいと考えている。同胞たちの意識に変化をもたらそうと奔走するラオを通し、少数民族の女たちの今を見つめる。
製作:Lao New Wave Cinema Productions(ラオス)/ パオネットワーク(日本)

井戸で稼ぐ女たち~インド
インド北部にあるウッタル・プラデーシュ州。政府により「不可触民」(ダリット)への差別が法律で禁止されたものの、この地域では未だに習慣として深く根付いている。そんな州の中にあるバンダ地区には電気もほとんど供給されておらず、テレビや電話も存在しない。水道もなく、生活水は井戸水だけ。しかし、井戸水を押し上げる手押しポンプのほとんどが壊れていて使い物にならない。
そこで立ち上がったのはラジクマリをはじめとする女たち。14歳で結婚したラジクマリは3児の母。朝家事をこなした後、工具片手にサリーを身にまとい自転車にまたがって、井戸から井戸へと移動し、ポンプの修理に励む。最初は家族も反対していたものの、次々とポンプを直していくラジクマリのお陰で稼ぎが出来、応援にするようになった。人々の生活に欠かせない水を供給し、女性の地位を守るべく戦う勇気ある彼女たちの姿を追う。
製作:Apricot Sky Entertainment(インド)/ 極東電視台(日本)
Colors of Asia 2015
第一回目は2014年のTokyo Docsに参加したアジアの製作者に「アジアの今を生きる女性たち」をテーマに企画の提案を呼び掛け、集まった企画の中から4本を選び、それぞれパートナーとなる日本の製作会社を決めて製作がスタートしました。
因習や保守的な風土、色濃く残る男性中心社会と格闘しながら、女性ならではの視点や手法を用いて、日々小さな前進を求めて生きる女性たちを、各国独自の背景を映しながら描いています。
Colors of Asia 2015は2015年8月31日~9月3日(24:00~24:30)にかけて、4夜連続でNHK BS1で放送されました。
番組の概要は以下の通りです。

少女たちの子守歌
ベトナム北部の山岳民族の間には、14、5歳で結婚する早婚の風習が残されている。16歳の少女ラーも、2年前に結婚して10か月の娘がいる。
歌が好きで歌手になるのが夢だったが、もうそれは叶わない。生活は厳しくて、朝から夜まで働き詰めの毎日。
中学2年生の夫は、結婚当初はやさしくて牛の草刈りなども手伝ってくれたが、今ではいくら頼んでも聞いてくれない。
それでも、夫のことが好きだが、なぜ、こんなに早く結婚してしまったのか、つらい思いがつのる。
製作: Redbrige TV & Film Production(ベトナム) × テムジン(日本)

日曜日のシンデレラ
香港には、19万人ものフィリピン人家政婦が祖国を離れ働いている。家政婦として働く現場には、香港の社会事情が反映している。共稼ぎの若い夫婦が子どもの学校の送り迎えや食事の世話を依頼するケース。成長した子どもたちが海外に移住し、一人暮らしとなった孤独な老人への介護など様々であり、香港社会はフィリピン人家政婦を必要としている。
毎日曜日に彼女たちは、香港島セントラルの広場に集まり、故郷に残した家族への思いや仕事の悩みを語りあい慰めあう。
毎年6月にはフィリピン独立記念日を祝い「家政婦・美人コンテスト」が開かれる。精一杯に着飾り、競い合う。フィリピン人家政婦、彼女たちの夢とは?
製作: Voyage Film Studios(フィリピン)× ドキュメンタリー・ジャパン(日本)

日陰の人生よ さようなら
人口2億5000万の9割という世界で最も多くのイスラム教徒を抱える国・インドネシアに、女性としてはとても珍しいイスラム教寄宿学校の校長がいる。
マスリヤ・アムバ54歳。彼女は、女性が社会の主導権を持つことに懐疑的な男性たちと闘いながら、日々、イスラム社会における女性の地位向上を目指して活動をしている。
マスリヤの武器はコーランの解釈。「神様が、女性に機会を与えないという“不公平”など、するはずがない!」とかたく信じ、真の教義は男尊女卑ではないと訴える。
しかし、女性が指導者になることに反対する保守的な意見は、マスリヤの教え子(男子)からも飛び出してくる。「男性の方が知的にも体力的にも女性より優っている」と堂々と述べる彼らに、マスリヤは根気強く向き合ってゆく。
そんなマスリヤが気にかけている女生徒がいる。音楽の才能に恵まれ、指導者になりたいと願っているが、父親から「音楽は反イスラム的だ」と反対され、夢をあきらめかけている。マスリヤは、そんな彼女を支え、その夢を応援している。
ディレクターは、マレーシア生まれの女性ムスリムであるノルハヤティ・カプラウィ。隣国インドネシアの穏健で寛容なイスラムに憧憬の念を抱く彼女が、「未来のイスラム社会で、女性の権利はどうあるべきなのか…」をテーマに、マスリヤの日常に密着し、その人生に迫った。
製作: Lensa Srikandi(マレーシア)× 東京ビデオセンター(日本)

秘伝のレシピを守れ/インド
中央インドのナグプールという町には、かつてのカースト制度で最下層とされていたダリットだけが食べてきた、“ランダニ・ロティ”というパンがある。家の軒先で、通りのすぐわきで女たちは、安価な穀物の粉をこね、ポットをさかさまにして下から木を焚き、底の丸みに生地をかぶせて焼く、という昔ながらの技法でランダニ・ロティ作りをしている。このパンの味わい深い風味は評判になり、多くの人が直接買い求めにくるようになった。「これをビジネスにしよう」と思い立った主婦のマンタ・ゲダムは地域の主婦たちを組織化して、小さなキッチン工房を借り、分業化して効率的に作りだした。マンタの目論見は大当たり。屋台を出したり、地方のお祭りに呼ばれたりと大評判。しかし、“ランダニ・ロティ”の評判を聞きつけたビジネスマンは機械化しようと動き出し、注文をくれていたレストランオーナーは自分たちの従業員にも作り方を教えろと言ってきたり、と前途多難な様相を呈している。ランダニ・ロティ作りのお陰で、貧困から抜け出し家計を支えられるようになった主婦たちは秘伝のレシピを守りぬくことが出来るのか。「自分たちの未来は自分たちの手で。決して男たちの手には渡してはならぬ」と意を決め動く女性たち。伝統を守り、生かしながら、新しい道を切り開く主婦たち、そこに新しいインドの女性像がある。
製作: Theme Entertainment (インド)× インプレオ(日本)